職種研究

戦略コンサルタントの仕事とは

戦略コンサルタントは、論点定義から仮説構築、分析、投資シミュレーション、経営会議への提言までを通して企業の意思決定を前に進める仕事です。仕事の流れと求められる力を図解で解説します。

公開日 / 最終更新日

運営 株式会社Hal / 編集 PREJOIN 編集部 / 監修 岩本 晃典(株式会社Hal 代表取締役)

戦略コンサルタントのチームが会議室で白い大きなボードを前に議論している様子

仕事の解説

戦略コンサルタントとは

戦略コンサルタントは、企業の経営者が抱える大きな問い、たとえば「縮む市場でどう成長するか」に対して、分析とロジックで答えを出す仕事です。派手な資料をつくることが仕事だと思われがちですが、実際の価値は資料そのものではなく、経営者の意思決定を前に進めることにあります。

戦略コンサルタントが白いボードに論点を書き出しながら議論している様子

仕事は「論点を定義する」ところから始まります。「売上を伸ばしたい」という依頼を受けたとき、いきなり打ち手を考え始めるのではなく、「何に答えれば意思決定が進むのか」を先に決める。この最初の一歩を誤ると、その後どれだけ分析を積み重ねても、経営者の判断には結びつきません。

仕事の流れ(1日・1年)

1つのプロジェクトは、数週間から数ヶ月かけて進みます。序盤は市場データの読み込みと、経営陣や現場社員へのヒアリングが中心です。数字の裏にある構造変化を見抜く作業には、地道な時間がかかります。

論点から提言までの流れ
  1. 論点を定義する:何に答えれば意思決定が進むかを決める
  2. 仮説を立てる:限られた情報から仮の答えを置く
  3. データで検証する:仮説をファクトで確かめる
  4. 打ち手を評価する:市場性や利益、リスクの物差しで比べる
  5. 提言にまとめる:経営会議で通用するストーリーに組み立てる
曖昧な問いを論点に分解し、仮説とファクトを往復しながら提言にまとめる流れです。

上の図は、曖昧な問いから提言にたどり着くまでの流れです。仮説とファクトの往復を何度も繰り返しながら、少しずつ答えの精度を上げていきます。

電卓とメモ用紙、ノートパソコンが置かれたデスク。市場規模を概算している様子(人物なし)

中盤にかけては、洗い出した打ち手を評価し、絞り込んでいきます。ここで威力を発揮するのがフェルミ推定です。市場規模と現実的に取れるシェアを掛け合わせ、短い時間で「やる価値のある話か」の相場感をつかみます。

終盤は、分析結果を経営会議で通用するストーリーに組み立てる作業です。現状の危機感、問いの提示、結論、根拠、リスクと対応策、実行の道筋。この順番を間違えると、どれだけ正しい分析でも相手には響きません。

やりがいと大変さ

やりがいと大変さの内訳
やりがい大変さ
分析と提言感覚的な議論が数字とロジックで裏付けられる手応え根拠のない発言は容赦なく指摘される
進め方短い期間で複数の論点を前に進められる面白さ限られた時間の中で情報を絞り込む難しさ
検証仮説が的中したときの手応え仮説がデータで裏切られたときの組み立て直し
戦略コンサルタントが感じやすい手応えと負担を、場面ごとに並べた図です。

自分の分析と提言が、実際に企業の投資判断を動かす瞬間に立ち会えるのは、この仕事ならではの手応えです。感覚や思いつきで語っていた議論が、数字とロジックで裏付けられたとたんに説得力を持つ。その変化を間近で見られることが、この仕事の面白さだと感じている人が多いようです。

一方で、根拠のない発言は容赦なく指摘されます。プロジェクトの期間は限られているため、すべてを調べ尽くすことはできません。想定していた仮説がデータで裏切られることも珍しくなく、その都度、組み立て直す粘り強さも必要になります。

向いている人

物事を構造的に分解して考えるのが好きな人、限られた情報から仮の答えを置いて前に進めるのが苦にならない人に向いています。数字に対する感度も欠かせません。市場規模や投資対効果を、感覚ではなく数字に落とし込んで判断する場面が多いからです。

同時に、分析を「誰が何をいつやるか」まで具体的な行動に落とし込む実行志向も求められます。分析だけで終わり、絵に描いた餅のまま提言を渡すことは、この仕事では評価されません。逆に、じっくり時間をかけて1つのことを深掘りするより、短い期間で複数の論点を並行して前に進めることを好む人のほうが、プロジェクトのペースに合いやすい傾向があります。

キャリアパス

戦略コンサルタントのキャリアの段階
  1. 入社1〜3年目 分析を任される:論点の一部を担当し、仮説とファクトの往復を経験する
  2. 中堅 プロジェクト運営を担う:クライアントの役員と直接向き合う機会が増える
  3. その先(社内) 難易度の高いプロジェクトを率いる:論点そのものを設計する立場になる
  4. その先(社外) 事業会社や新規事業へ:経営企画や事業責任者として転じる道もある
プロジェクトの一部を担当する立場から、論点そのものを設計する立場へと広がる流れです。

コンサルティングファームでは、複数の業界・複数のテーマのプロジェクトを経験しながら、若いうちから経営課題の中枢に関わる機会が多くあります。プロジェクトで培う「問いを立て、ファクトで検証し、実行に落とす」という型は、どの道に進んでも土台になり続けます。

就活対策

この職種で求められる力

戦略コンサルタントで求められる力
  • 構造化する力曖昧な課題を論点に分解し、筋道を立てて考える
  • 仮説思考限られた情報から仮の答えを置いて検証を重ねる
  • 数字で語る力市場規模や投資対効果を数字に落とし込んで判断する
  • 実行に落とす力分析結果を具体的な行動と役割分担にまで落とし込む
構造化・仮説・実行という3つの軸から、日々の判断を支える力を示した図です。

曖昧な依頼や課題を「何に答えれば意思決定が進むか」という論点に分解し、筋道を立てて考える力が土台になります。加えて、限られた情報から仮の答えを置いて検証しながら前進する仮説思考、数字で物事を語る力、分析結果を具体的な行動に落とし込む実行力も求められます。

学生のうちに準備できること

日頃から、ニュースや身の回りの出来事に対して「なぜそうなっているのか」を自分なりに構造立てて考える習慣をつけておくと役に立ちます。市場規模のような大きな数字を、身近な数字の掛け算で概算してみる練習も効果的です。厳密さより、桁を外さない感覚を養うことが目的です。

ゼミやサークル、アルバイト先での意思決定に関わった経験があれば、その時にどんな情報を集め、どう判断したかを振り返っておくと、選考の場で語れる材料になります。特別な資格が必要な仕事ではありませんが、会計や統計の基礎に触れておくと、入社後の分析業務への抵抗感が減ります。

ケース面接の練習も、独学である程度は積めます。身の回りの企業や商品を題材に、「この会社が売上を伸ばすなら何をすべきか」を自分なりに論点から組み立ててみる。うまく答えが出なくても、途中で立てた問いや仮説を言葉にする練習そのものに意味があります。

選考で見られやすいポイント

ケース面接やグループディスカッションでは、結論そのものよりも、そこに至る思考のプロセスが見られます。曖昧な問いに対してどう論点を分解したか、どんな前提を置いたか、その前提は妥当だったか。結論を急がず、筋道を立てて話せるかどうかが評価の分かれ目になります。

もう1つ見られやすいのは、根拠に基づいて語る姿勢です。指摘を受けたときに、意見を守ることに固執せず、素直に考え直せるかどうかも見られています。

体験を ES・面接で語るには

職業体験で経験した分析や意思決定のプロセスは、そのまま良い材料になります。ポイントは、結論だけを語らず、途中の思考の道筋を再現することです。どんな論点を立てたか、どんな情報をもとに仮説を置いたか、その仮説がデータでどう検証され、最終的にどんな結論に至ったか。この流れを順番に話せると、思考力そのものが伝わるエピソードになります。

うまく仮説が外れた経験があれば、それも隠さずに語る価値があります。外れた仮説をどう修正し、次にどうつなげたかを話せると、仮説思考の力がより具体的に伝わります。

出典・この記事について

本記事は、PREJOIN 編集部(株式会社Hal)が、各社の有価証券報告書・決算資料・公式サイトなどの公開情報と公的統計をもとに作成しています。数値は作成時点のもので、最新の情報は各出典をご確認ください。

内容の誤りや古くなった情報にお気づきの場合は、info@hal-corporation.com までお知らせください。

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シェア低下に挑む — 飲料メーカー成長戦略プロジェクト

戦略コンサルタントになって、売上300億円の飲料メーカーの成長戦略を立案。市場データの読み解きから投資配分シミュレーション、経営会議への提言まで、コンサルの仕事を丸ごと追体験します。一次資料を読み解くケース資料室つき。