業界研究

自動車・自動車部品業界とは

完成車メーカーと部品メーカーが支え合う自動車業界の仕組みと、電動化で起きている変化を、売上ランキングとあわせて解説します。

公開日 / 最終更新日

運営 株式会社Hal / 編集 PREJOIN 編集部 / 監修 岩本 晃典(株式会社Hal 代表取締役)

自動車の技術者たちが持ち上げられた車体の下を点検している様子

業界の解説

自動車・自動車部品業界とは

自動車業界は、完成車を組み立てるメーカーと、それに部品を納める部品メーカーの二層でできています。完成車メーカーはエンジンや車体を設計し、最終的に一台の車として仕上げます。部品メーカーは、エンジン部品からブレーキ、電子制御装置まで、車を構成するあらゆる部品を作っています。

細かい部品まで含めると、一台の車には数え切れないほどの部品が使われます。完成車メーカーの周りには、直接取引をする一次部品メーカーだけでなく、その先にさらに部品を納める二次、三次のメーカーまで、何層にもわたる会社が連なっています。

完成車メーカーを中心に広がる取引網

中心:完成車メーカー

関係するもの

  • 一次部品メーカー
  • 二次・三次部品メーカー
  • 販売会社
  • 海外の生産拠点
  • 電池・IT企業
完成車メーカーの周りには、部品メーカーや販売会社、海外拠点まで、何層もの会社が支え合っています。

どうやって稼いでいるか

完成車メーカーの主な収入源は、消費者や法人への車の販売です。国内だけでなく北米、欧州、アジアなど世界中に工場と販売網を持ち、地域ごとの需要に合わせて車種を作り分けています。為替の動きは業績に直結し、円安になれば海外での利益が円換算で増えます。

部品メーカーの多くは、完成車メーカーに部品を納めるBtoBのビジネスです。新型車の開発が始まるずっと前から声がかかり、その車種の生産が続くかぎり長期の取引になります。一つの部品を複数の完成車メーカーに供給して、収益の柱を分散させている会社も少なくありません。車検や修理などのアフターサービス、中古車の流通も、業界全体で見ると大きな市場です。車を売って終わりではなく、使われ続けるあいだずっと関わりが続く点も、この業界の特徴です。

主なプレーヤーと業界の構造

完成車メーカーと部品メーカーの違い
完成車メーカー部品メーカー
主な仕事設計・組み立て・ブランド管理部品の開発と供給
顧客との関係消費者や法人への販売完成車メーカーへの長期供給
いま起きている変化電動化と自動運転への対応モーターや電池技術への軸足移動
同じ自動車業界でも、完成車メーカーと部品メーカーでは仕事の中身も向き合う課題もかなり違います。

完成車メーカーは、乗用車を中心に作る会社と、トラックやバスなど商用車を中心に作る会社に分かれます。部品メーカーのなかには、完成車メーカーから分社化した会社や資本関係の深い会社が多くある一方、特定の技術で世界的なシェアを持ち、複数の完成車メーカーと取引する独立系の会社もあります。

近年は、電池メーカーやIT企業など、これまで自動車業界の外にいた会社が電動化や自動運転の分野で存在感を強め、業界の外との協業や資本提携も増えています。長く続いてきた系列の枠を越えて、複数の完成車メーカーに同じ部品を供給する会社や、異業種と組んで新しい部品を開発する会社も出てきました。

いま起きている変化

電気自動車の主要な部品がワークベンチに並ぶ様子

自動車業界でいちばん大きな変化は、動力源がガソリンエンジンから電気へと移り変わっていることです。エンジンや変速機を作ってきた部品メーカーにとっては、モーターやバッテリー関連の技術に事業の軸足を移す必要が出てきています。自動運転や運転支援の技術も進み、車が単なる移動手段から、ソフトウェアで機能が更新される製品へと変わりつつあります。機械や電気の技術者が中心だった開発現場に、ソフトウェアの技術者の比重が増えているのも近年の動きです。

半導体の不足や、部品の調達先が特定の国や地域に偏っているリスクも、近年の生産計画に大きく影響しました。一つの部品が手に入らないだけで完成車の生産が止まってしまう構造の弱さが、あらためて意識されるようになっています。調達先を複数に分散させたり、在庫の持ち方を見直したりする動きも、各社で進んでいます。

この業界の主な職種

この業界の主な職種
ラインを動かす仕事から、次世代の技術を形にする仕事まで、役割は幅広く分かれています。

このほか、海外拠点との調整を担う仕事や、販売会社と連携する営業職など、自動車業界には国内外をまたぐ仕事が数多くあります。

売上ランキング

売上高ランキング

指標: 売上高(売上収益) ・ 基準: 東証33業種「輸送用機器」に属する上場企業のうち、完成車メーカーと主要な部品メーカーをあわせた直近通期(2026年3月期)の連結売上高上位10社。完成車と部品メーカーを区別せずに業種内の売上規模で比較しています。 ・ 調査日 2026-09-28

順位社名金額決算期注記・出典
1トヨタ自動車
50兆6,849億円
2026年3月期完成車メーカー。項目名は「営業収益」 / 出典
2本田技研工業
21兆7,966億円
2026年3月期完成車メーカー / 出典
3日産自動車
12兆78億円
2026年3月期完成車メーカー / 出典
4デンソー
7兆5,399億円
2026年3月期部品メーカー / 出典
5スズキ
6兆2,929億円
2026年3月期完成車メーカー / 出典
6アイシン
5兆1,177億円
2026年3月期部品メーカー / 出典
7マツダ
4兆9,181億円
2026年3月期完成車メーカー / 出典
8SUBARU
4兆7,849億円
2026年3月期完成車メーカー / 出典
9いすゞ自動車
3兆4,790億円
2026年3月期完成車メーカー(商用車) / 出典
10三菱自動車工業
2兆8,965億円
2026年3月期完成車メーカー / 出典

決算期はすべて2026年3月期です。完成車メーカー(トヨタ自動車・本田技研工業・日産自動車・スズキ・マツダ・SUBARU・いすゞ自動車・三菱自動車工業)と部品メーカー(デンソー・アイシン)を区別せず、東証33業種「輸送用機器」内の連結売上高で並べています。対象は調査時点で上場している企業です。豊田自動織機(2026年3月期の売上高4兆3,695億円)は2026年6月に上場を廃止したため含めていません。

各社の決算資料を基に編集部が作成。決算期が異なる企業を含みます。

就活対策

この業界で求められる力

求められる力
  • 数年先を見る視点目の前の数字と、先の技術の変化を両方見据える視点です。
  • 技術を提案する力図面通りに作るだけでなく、コストや品質の面で提案できるかが問われます。
  • 学び続ける姿勢電動化や自動運転など、変化の速い技術を追い続ける姿勢です。
目の前の数字と、先の技術の変化を両方見据える視点が、この業界では欠かせません。

自動車・部品業界は、一つの製品を何年もかけて開発し、量産してからも改善を重ねる仕事が中心です。目の前の数字にこだわりながら、先の技術の変化を見据える、両方の視点が求められます。部品メーカーで働く場合は、取引先である完成車メーカーの要求に応えながら、自社の技術をどう活かすかを考える力が必要です。決められた図面通りに作るだけでなく、コストや品質の面で提案できる技術者が重宝されます。

選考で見られやすいポイント

完成車メーカーと部品メーカーでは、選考で見られるポイントが少し違います。完成車メーカーでは、車そのものへの興味に加えて、世界中の拠点で働く前提でのグローバルな視点を聞かれることがあります。部品メーカーでは、自社の技術がどんな強みを持ち、電動化の流れのなかでどう活きるかを理解しているかが見られます。技術系の職種では、大学での研究テーマや、ものづくりの経験を通じて、粘り強く課題に向き合えるかどうかが重視されます。文系の職種でも、海外拠点との調整や販売会社との連携など、国内外をまたいで動く前提を理解しているかが問われる場面があります。

業界研究で押さえたい問い

  • その会社は完成車メーカーか部品メーカーか、部品メーカーならどの部品を得意としているか

  • 電動化や自動運転にどう対応しようとしているか

  • 海外売上の比率と、主な生産拠点はどこにあるか

  • サプライチェーンのリスクに、どんな備えをしているか

体験を ES・面接で語るには

生産ラインの数字と向き合うワークを体験したなら、どの数字を見て何を根拠に判断したかを具体的に話せると、単なる感想で終わらない説得力のあるエピソードになります。

うまくいかなかった判断があれば、それを隠さず、なぜその判断をしてしまったのか、次はどう考えるかまで話すと、失敗から学ぶ姿勢が伝わります。自動車業界は長い時間をかけて改善を積み重ねる仕事が多いので、一度の失敗より、そこからどう学んだかのほうが評価されやすいポイントです。

複数の部署や取引先の意見が食い違う場面を経験したなら、それも良い材料です。誰の意見を優先し、何を根拠に決めたかを話せると、部品メーカーと完成車メーカーが折り合いをつけながら仕事を進める、この業界の現実に近い感覚が伝わります。

出典・この記事について

  1. トヨタ自動車 2026年3月期決算短信
  2. 本田技研工業 2026年3月期決算短信
  3. 日産自動車 2026年3月期決算短信
  4. デンソー 2026年3月期決算短信
  5. スズキ 2026年3月期決算短信
  6. アイシン 2026年3月期決算短信
  7. マツダ 2026年3月期決算短信
  8. SUBARU 2026年3月期決算短信
  9. いすゞ自動車 2026年3月期決算短信
  10. 三菱自動車工業 2026年3月期決算短信

本記事は、PREJOIN 編集部(株式会社Hal)が、各社の有価証券報告書・決算資料・公式サイトなどの公開情報と公的統計をもとに作成しています。数値は作成時点のもので、最新の情報は各出典をご確認ください。

内容の誤りや古くなった情報にお気づきの場合は、info@hal-corporation.com までお知らせください。

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ラインを止めるな — 新型部品の量産立ち上げ

自動車部品メーカーの生産技術エンジニアになって、新型EV部品の量産ラインを立ち上げる。サイクルタイム表からボトルネックを特定し、人員配置でタクトを設計し、不良多発の真因を「なぜなぜ分析」で掘り当てる。トヨタ生産方式の考え方を、数字が動くシミュレーターで体感します。