業界研究

通信業界とは? ビジネスモデル・仕事内容・営業収益ランキング

通信業界は、電波と回線を整備し続けることで社会を支えるインフラ産業です。稼ぎ方の仕組み、主なプレーヤー、いま起きている変化、主な職種を、通信事業者の営業収益ランキングとあわせて解説します。

公開日 / 最終更新日

運営 株式会社Hal / 編集 PREJOIN 編集部 / 監修 岩本 晃典(株式会社Hal 代表取締役)

通信会社の社員が携帯電話の基地局アンテナを見上げて点検している様子

業界の解説

通信業界とは

スマートフォンでいつでもどこでも動画が見られ、通話やメッセージが一瞬で届くのは、見えないところで電波と回線を整備し続けている会社があるからです。通信業界は、携帯電話を提供する移動通信キャリアと、光回線やインターネット接続を提供する固定通信事業者から成り立っています。電気や水道と同じように、社会の基盤を支えるインフラ産業のひとつです。

通信会社の担当者が住民にアンテナ設置の説明をしている様子

携帯電話サービスを提供する主な会社(移動通信キャリア)は、NTTドコモ、KDDI(au)、ソフトバンクの3社に、後発の楽天モバイルを加えた体制です。通信は、災害時にこそその重要性が際立つ業界でもあります。停電や回線の断絶が起きたときに、いかに早く復旧させるか、避難所などの重要拠点への通信をどう優先的に確保するかは、通信会社が日ごろから備えている課題です。

どうやって稼いでいるか(ビジネスモデル)

通信業界の収益の基本は、利用者が毎月支払う通信料です。基地局や回線という大きな設備投資を先に行い、その設備を何年もかけて多くの利用者に使ってもらうことで投資を回収していく、装置産業的な性格を持っています。

基地局が投資を回収するまでの流れ
  1. 周波数の割り当てを受ける
  2. 設置場所を確保する
  3. 工事を行う
  4. 開局後も品質を保つ
  5. 利用者に使われ投資を回収
大きな設備投資を先に行い、長い年月をかけて利用者に使われることで回収していきます。

近年は、通信料そのものに加えて、スマホ決済や金融サービス、企業向けのデータセンターやクラウド、DX(デジタル変革)支援など、通信以外の事業を広げる会社が増えています。通信で築いた顧客基盤やネットワークインフラを土台に、生活や企業活動を支えるサービス全般へと事業領域を広げているのが、いまの通信業界の特徴です。

主なプレーヤーと業界の構造

NTTは持株会社として、多数のグループ会社を束ねています。

NTTグループの構成

中心:NTTグループ(持株会社)

関係するもの

  • NTTドコモ:携帯電話事業
  • NTT東日本:固定・光回線(東日本)
  • NTT西日本:固定・光回線(西日本)
  • NTTデータグループ:システム開発
持株会社のもとに、役割の違う複数のグループ会社が束ねられています。

KDDIとソフトバンクは、携帯電話事業を中核にしながら、決済や金融、法人向けサービスへと事業を広げています。固定通信の分野では、企業向けにインターネット接続やネットワーク構築を提供する会社も重要なプレーヤーです。楽天グループが運営する楽天モバイルのように通信事業に新規参入する会社もありますが、楽天グループの場合、売上の大半を占めるのはネット通販や金融事業で、通信事業はグループ全体の中では一部にとどまります。同じ携帯電話を提供する会社でも、通信が本業かどうかは会社によって違うので、業界研究の際は、その会社の売上の中で通信事業がどれくらいの比重を占めているかも見ておくとよいでしょう。

いま起きている変化

通信規格は4Gから5Gへの移行が進み、さらに先の世代に向けた技術開発も続いています。

サーバーラックと電波の広がりを象徴するアイコンが並んでいる様子

利用者側では、大手キャリアの回線を借りて割安なプランを提供する格安SIM(MVNO)の普及によって、料金競争が続いてきました。各社は、通信料だけに頼らない収益源として、スマホ決済やポイント経済圏、法人向けのDX支援などに力を入れています。生成AIの普及に伴って、データセンターの需要も急速に高まっていて、大量のデータを処理する基盤を整備することは、通信会社にとって新たな事業機会であると同時に、電力確保などの新しい課題にもなっています。人口減少が進む地域でも通信サービスを維持し続けなければならない点も、この業界特有の課題です。

この業界の主な職種

携帯電話の電波を届ける仕事の入り口が、無線ネットワーク設計です。

通信業界の主な職種
設計から交渉、運用まで、多くの専門職が「つながる」を支えています。

どの周波数を、どこに、どれくらいの出力で配置するかを、人口分布や地形をもとに設計し、設計した場所に実際に基地局を建てるためには、土地の所有者や近隣住民と交渉する置局交渉という仕事も欠かせません。開局後は、24時間365日体制でネットワークを見守るネットワーク運用・保守や、実際の電波の入り具合を測定して調整するエリア品質改善といった仕事が、日々の「つながる」を支えています。

売上ランキング

営業収益ランキング

指標: 営業収益・売上高 ・ 基準: 国内の主要な通信事業者(移動通信キャリアおよび主要な固定通信事業者)の直近通期(2026年3月期)の連結営業収益、またはIFRS上の売上高・売上収益。 ・ 調査日 2026-09-28

順位社名金額決算期注記・出典
1NTT
14兆4,091億円
2026年3月期NTT自身の決算短信上の表記は「2025年度」。持株会社としてグループ全体の数値 / 出典
2ソフトバンク
7兆386億円
2026年3月期IFRS「売上高」。携帯キャリア事業を担うソフトバンク株式会社(SBG本体とは別会社) / 出典
3KDDI
6兆719億円
2026年3月期IFRS「売上高」 / 出典
4インターネットイニシアティブ
3,453億円
2026年3月期IFRS「売上収益」。法人向けを中心とするインターネット接続事業者 / 出典
5沖縄セルラー電話
863億円
2026年3月期KDDIグループの地域会社として独立して東証に上場 / 出典

NTTは持株会社として、NTTドコモ・NTT東日本・NTT西日本・NTTデータグループなど通信以外の事業(データセンター、システム開発等)も含めたグループ全体の数値です。楽天モバイルを運営する楽天グループは、グループ売上の大半がネット通販や金融事業によるもので通信が主力ではないため、対象から除外しました。決算期はいずれも2025年4月〜2026年3月(2026年3月期)で揃えています。

各社の決算資料を基に編集部が作成。決算期が異なる企業を含みます。

就活対策

この業界で求められる力

通信インフラを支える仕事では、周波数や人口、通信量といった数字をもとに、論理的に判断する力が欠かせません。

通信業界の選考で意識したい力
  • 論理的な判断力周波数や通信量を数字から判断する。
  • 対話を大切にする姿勢土地の所有者や住民と直接向き合う。
  • 原因を切り分ける力つながらない状況の原因を突き止める。
  • 学び続ける好奇心新しい規格や仕組みを自分で調べる。
数字にもとづく判断力と、住民との対話を大切にする姿勢が問われます。

基地局を建てる際には土地の所有者や近隣住民と直接向き合う場面も多く、人と人との対話を大切にする姿勢も同じくらい重要です。つながらないという状況の原因を、通信の知識をもとに切り分けて突き止める力も求められます。通信は社会の基盤なので、地道な保守・点検の積み重ねが、災害時などのいざというときに人々の生活を守ることにつながります。技術の進化が早い業界でもあるため、新しい規格や仕組みを学び続ける姿勢も欠かせません。

選考で見られやすいポイント

選考では、通信という社会インフラへの関心を、自分なりの言葉で語れるかどうかが見られます。単にスマホが好きだからではなく、通信がどのような技術と仕組みで成り立っているかに関心を持ち、自分で調べた経験があると説得力が増します。

もう1つは、地道な作業をやり切る姿勢です。基地局の品質改善や保守点検は、派手な成果がすぐに出る仕事ではありません。アルバイトや部活動の中で、地道な取り組みをコツコツ続けた経験があれば、具体的なエピソードとして語れるようにしておくとよいでしょう。加えて、数ある通信会社の中で、なぜその会社を選ぶのか、どの事業領域に関心があるのかを、自分の言葉で説明できることも大切です。

理系・文系を問わず募集している会社が多いのも、この業界の特徴です。無線ネットワーク設計のように技術的な素養が生きる仕事もあれば、置局交渉のように人との対話が中心になる仕事もあります。自分の得意分野が、この業界のどんな仕事に生きそうかを考えておくと、志望動機にも厚みが出ます。

業界研究で押さえたい問い

  • 携帯電話キャリア各社は、通信以外にどんな事業を広げているか

  • 志望する会社は、個人向けと法人向け、どちらに力を入れているか

  • 5Gやその先の技術は、どんな新しいサービスを生み出す可能性があるか

  • 無線ネットワーク設計と現場での置局交渉、自分はどちらの仕事に近いか

  • 通信インフラを支える仕事に、どんなやりがいと責任を感じるか

体験を ES・面接で語るには

職業体験で、電波の届き方や通信量を数字から判断する場面があったなら、その数字をどう読み解いたかを具体的に語れると評価されやすくなります。つながらないという状況に対して、どんな原因を疑い、どう切り分けていったかという思考の順番を、丁寧に振り返っておくとよいでしょう。

土地の所有者や住民との対話が必要な場面を経験していたら、最初にどう伝え、相手の反応を見てどう伝え方を変えたかを話せると、対話力が伝わります。技術的な判断と、人との対話という2つの側面を、両方とも経験として語れると、通信業界の仕事の全体像を理解していることが伝わります。

うまくいかなかった判断があれば、それも隠さずに、そこから何を学んだかまで話すと、かえって印象に残ります。通信の仕事は、地道な準備と、いざというときの判断力の両方が求められる仕事なので、日々の積み重ねを大切にしてきた経験は、そのまま良い材料になります。

エピソードを話すときは、自分が扱った数字や判断が、最終的にどんな人の生活を支えることにつながるのかまで想像を広げてみましょう。目の前の作業と、その先にいる利用者の暮らしをつなげて語れると、社会インフラを支える仕事への理解の深さが伝わります。

出典・この記事について

  1. NTT IR資料室
  2. ソフトバンク IR情報
  3. KDDI IRライブラリ
  4. インターネットイニシアティブ IR情報
  5. 沖縄セルラー電話 IR情報

本記事は、PREJOIN 編集部(株式会社Hal)が、各社の有価証券報告書・決算資料・公式サイトなどの公開情報と公的統計をもとに作成しています。数値は作成時点のもので、最新の情報は各出典をご確認ください。

内容の誤りや古くなった情報にお気づきの場合は、info@hal-corporation.com までお知らせください。

この業界のワークを体験する

電波の地図を描け — 新しい街に「つながる」を届ける基地局エンジニアの1年

参入して間もない携帯キャリアで、ニュータウン地区のエリアを任された新人エンジニアになります。周波数帯と基地局の置き場所を選び、オーナーや住民と向き合い、開局後はアンテナの角度を調え、お客さまの声から改善し、花火大会と台風の夜を越えます。選択に連動する「エリア品質パネル」で、カバー率・屋内・速度・納得度を追いかけます。