職種研究

銀行の法人営業(RM)の仕事とは

融資だけでなく、企業の経営課題に金融とネットワークの力で応える仕事です。決算書の読み方から本音を引き出す面談までを紹介します。

公開日 / 最終更新日

運営 株式会社Hal / 編集 PREJOIN 編集部 / 監修 岩本 晃典(株式会社Hal 代表取締役)

銀行の法人営業担当者が経営者と応接室で面談している様子

仕事の解説

銀行の法人営業(RM)とは

銀行の法人営業は、企業を担当し、経営課題に対して金融面から支援する仕事です。リレーションシップ・マネージャー、略してRMと呼ばれることもあります。単に融資の条件を提示するだけでなく、決算書を読み解いて経営課題を仮説立て、企業の将来を一緒に考える伴走者としての役割を担います。

決算書の束と付箋、電卓が机に置かれている様子

「お金を貸す仕事」という印象を持たれがちですが、実際にはグループ内の専門部署や外部の専門家の力も借りながら、事業承継、海外展開、設備投資など、企業が抱えるさまざまな課題に対して総合的な提案をしていく仕事です。担当先とは数年、時には十年を超える単位で関係が続きます。決算書は、企業への最良の質問集でもあります。売上や利益の推移だけでなく、事業の内訳や資金の借り方まで読み込んでおくと、初めて訪問したときの経営者の反応がまったく違ってくるといわれます。準備をしてきたかどうかは、経営者にはすぐに伝わるものです。

仕事の流れ

提案ができあがるまでの流れ
  1. 決算書を読み込む:訪問前に問いを用意する
  2. 面談で本音を聞く:数字だけでは見えない課題を探る
  3. 条件を設計:複数の解決策を組み合わせる
  4. 社内承認・実行:行内の基準もクリアする
  5. 伴走を続ける:定期訪問で関係を保つ
決算書を読み込み、対話で本音を引き出してから、提案と実行に進みます。

日々の仕事は、担当先への訪問と社内調整の往復で成り立っています。午前中は数社を訪問して経営者や現場の話を聞き、午後は融資の稟議書を作成して審査部門と折衝し、夕方にはグループ会社の専門家と提案内容を検討する、という流れが一般的です。上の図のように、実際の面談では経営者の話にじっくり耳を傾け、決算書だけでは見えてこない経営課題や本音を引き出します。事業承継のように、経営者自身がなかなか言い出せない課題を抱えていることもあり、信頼関係ができて初めて打ち明けられる本音を受け止めることも、この仕事の重要な部分です。

やりがいと大変さ

やりがいと大変さ
やりがい大変さ
手応え企業の将来を一緒に組み立てられる本音を引き出すには時間がかかる
向き合うもの長年苦楽を共にした企業からの信頼行内の基準と顧客の要望の両立
求められる姿勢数字を事業の物語として読む力どちらか一方に偏らない条件設計
長い関係の手応えと、社内外の基準を同時に満たす難しさが同居します。

企業の経営課題に深く入り込み、その会社の将来を一緒に組み立てていく過程に関われるのは、この仕事の大きなやりがいです。一方で、経営者から本音を引き出すには時間がかかり、一度の訪問で信頼を得られるとは限りません。提案が銀行の内部で通るかどうかという社内調整の負担も大きく、顧客の要望と行内の基準の両方を満たす着地点を探る難しさもあります。融資の条件を決める場面では、顧客が無理なく返せる条件と、銀行として成立する条件の両方を同時に満たさなければ、長く続く関係は築けません。

向いている人

金融商品を売ることよりも、企業の事業そのものに関心を持てる人に向いています。決算書の数字を、単なる数字としてではなく、その会社の事業の物語として読み解こうとする姿勢が信頼につながります。人の話を丁寧に聞く力、相手の迷いや願いを汲み取る力も欠かせません。商品の説明から入るのではなく、まず相手の事業について質問できる人にも向いています。経営者が心を開くのは、自分の会社に本気で関心を持ってくれる相手に対してだけです。

キャリアパス

RMのキャリアの段階
  1. 若手 中小企業を担当するRM:決算書と面談の基本を身につける
  2. 中堅 大企業・本部の専門部署へ:より専門性の高い案件を扱う
  3. その先 事業承継・M&Aの専門家:特定分野を深める道もある
  4. 分岐点 支店長や事業会社の財務部門へ:金融業界の外でも活躍の場が広がる
担当先の規模や専門性が広がり、経営に近い立場へ進んでいきます。

最初はRMとして中小企業を中心に担当し、経験を積むにつれて大企業や、より専門性の高い案件を扱う本部の専門部署へと進んでいく道があります。事業承継やM&Aといった特定分野の専門家として深めていく道、支店長や海外拠点の責任者として管理職に進む道など、キャリアの広がり方はさまざまです。事業を深く理解し、経営者から信頼される力を身につけた人材は、事業会社の財務部門への転身など、金融業界の外でも活躍の場を広げやすいと言われています。

就活対策

この職種で求められる力

RMに求められる力
  • 財務分析力決算書から企業の実態を読み解く
  • 対話力経営者の本音や迷いを丁寧に引き出す
  • 構成力複数の解決策を一つの提案にまとめる
数字を読む力と、本音を引き出す対話力の両方が問われます。

決算書などの数字から企業の実態を読み解く力と、経営者の本音を引き出す対話力の両方が求められます。数字だけを見ていても経営課題の全体像はつかめず、対話だけに頼っても提案の裏づけが弱くなります。あわせて、複数の解決策を一つの提案としてまとめる構成力も必要です。相手が言葉にしていない本音や課題に気づく感度も、この仕事では重視されます。

学生のうちに準備できること

会計や財務諸表の基礎知識に触れておくと、決算書を読む力の土台になります。難しく感じても、まずは売上や利益といった基本的な項目の意味を理解しておくだけで、入社後の学びが格段に早くなります。経済ニュースや企業の動向に日頃から関心を持っておくことも役立ちます。初対面の人と関係を築いた経験、たとえばアルバイトやサークル活動での対人経験も、この仕事の準備につながります。

身近な企業の商品やサービスについて、「なぜこの会社はこの事業をしているのか」を自分なりに考えてみるのも良い練習です。企業を単なる取引先としてではなく、事業として捉える視点が少しずつ養われます。

選考で見られやすいポイント

面接では、数字に対する抵抗感がないかどうかがよく見られます。会計や財務の知識が完璧である必要はありませんが、数字を使って物事を説明しようとする姿勢は伝わります。人の話をじっくり聞く姿勢も重視されるポイントで、長期的な関係を築いた経験や、粘り強く物事に取り組んだ経験があると、この仕事との相性を感じてもらいやすくなります。

体験を ES・面接で語るには

職業体験で決算書を読み解いたり、面談を通じて相手の本音を引き出したりした経験があれば、どんな数字に注目し、どんな問いを立てて臨んだかを具体的に振り返ってみてください。表面的な印象だけでなく、根拠を持って判断した過程を語れると説得力が増します。

相手との対話がうまくいかなかった場面があれば、それも正直に振り返るとよいでしょう。複数の条件を同時に満たす提案を考えた経験があれば、それも良い題材になります。一方だけを立てるのではなく、双方が納得できる着地点をどう探したかを話せると、この仕事に求められる構成力の高さが伝わります。

出典・この記事について

本記事は、PREJOIN 編集部(株式会社Hal)が、各社の有価証券報告書・決算資料・公式サイトなどの公開情報と公的統計をもとに作成しています。数値は作成時点のもので、最新の情報は各出典をご確認ください。

内容の誤りや古くなった情報にお気づきの場合は、info@hal-corporation.com までお知らせください。

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社長の本音に応えろ — 老舗企業の未来を組む

メガバンクの法人営業(RM)になって、老舗食品メーカーの経営課題と向き合う。決算書3期分の読み解き、融資条件の設計、グループ会社の力を束ねたソリューション提案、そして社長の本音を引き出す面談まで — 「企業の伴走者」としての銀行員を追体験します。