不動産開発(デベロッパー)・プロパティマネジメントの仕事とは
空き地や古いビルを「何にするか」から考え、何年もかけて街の一部をつくる仕事です。現地調査とデータ、地権者との対話、竣工後の運営までの流れを図解で紹介します。
公開日 / 最終更新日
運営 株式会社Hal / 編集 PREJOIN 編集部 / 監修 岩本 晃典(株式会社Hal 代表取締役)

仕事の解説
不動産開発・プロパティマネジメントとは
不動産開発(デベロッパー)は、土地や古い建物を仕入れて、そこに何を建てるかを企画し、完成後は貸したり売ったりして収益を生む仕事です。プロパティマネジメントは、完成した建物やテナントと長く付き合いながら、収益と建物の価値を保ち続ける仕事です。会社によってはこの二つが同じ部署にまたがっていることも多く、開発から運営まで一人が長く関わるケースもあります。

デベロッパーと聞くと、大きなビルの設計図を描く仕事を思い浮かべる人が多いかもしれません。でも実際に手を動かす時間の多くは、現地を歩いて人の流れを観察したり、地図や統計から街の変化を読み取ったり、地権者やテナントと粘り強く話し合ったりすることに使われます。図面はその後についてくるものです。
仕事の流れ(1日・1年)
1日の中身は、案件のフェーズによって大きく変わります。企画段階なら、現地調査や役所への確認、社内での事業収支の検討が中心になります。テナント誘致の段階なら、不動産会社やテナント候補との面談が続きます。運営が始まってからは、入居者からの相談対応や、建物の修繕計画、収支の見直しが日々の仕事になります。
- 市場調査・企画:人口や賃料相場、競合施設を確かめる
- 事業収支の検討:賃貸か分譲か、資金の回収方法を考える
- 地権者との合意形成:相手の事情に耳を傾けながら条件を詰める
- 行政手続き・設計施工:並行して手続きと図面を進める
- 竣工後の運営:テナントを集め建物の価値を保ち続ける
上の図のように、1つの案件は市場調査から始まり、竣工後の運営まで長い時間をかけて進みます。感覚的に「良さそうな土地」で終わらせず、地域の人口の動き、賃料の相場、競合となる施設の供給状況まで確かめたうえで、企画の方向性を固めていきます。
現地調査は一度で終わるものではなく、平日と休日、昼と夜など、時間帯を変えて何度も足を運ぶことがあります。データには現れない人の動きや街の表情は、実際に歩いてみて初めて気づけることが多いからです。竣工してからは、テナントを集め、建物を運営し続ける長い時間が始まります。開発は「建てて終わり」ではなく、そこからが本番だと考えている人も多い職種です。
やりがいと大変さ
| 数字を扱う場面 | 人に向き合う場面 | |
|---|---|---|
| 企画段階 | 需要と供給を数字で突き合わせる | 地域の人の暮らし方を想像する |
| 合意形成 | 収支シミュレーションで条件を示す | 地権者の事情にじっくり耳を傾ける |
| 運営段階 | 収支を見直し続ける | 入居者やテナントの相談に応じる |
自分が関わった場所に、実際に人が集まって暮らしたり働いたりする様子を見られるのは、この仕事ならではの手応えです。何もなかった土地に人の営みが生まれる瞬間に立ち会える職種は、そう多くありません。

一方で、事業の規模が大きく、時間軸も長いため、判断のやり直しがきかない場面が多いのも事実です。土地の取得や用途の決定は、いったん動き出すと簡単には戻せません。地権者との合意形成が長引くこともあります。土地を手放すかどうかは、その人の人生や家族の歴史に関わる重い判断であることが多く、条件の話をする前に、まず相手の事情にじっくり耳を傾ける時間が必要になります。
向いている人
長い時間をかけて物事を進めることを楽しめる人には向いている仕事です。1つの案件に何年も関わり、途中で状況が変わっても前に進める粘り強さが役に立ちます。
また、事業収支のような数字の話と、地権者や住民の感情の機微という、性質の違う二つを同時に扱える人が重宝されます。「この街をこうしたい」という具体的な思いを持てる人は、企画の軸がぶれにくく、強みになります。社内の会議で、自分が組み立てた企画を上司や役員に説明し、根拠を持って質問に答える場面もあります。
キャリアパス
- 最初 開発企画や用地担当として一部を担当
- 経験を積むと 事業全体の責任者として案件をまとめる
- その先(運用) 保有した建物を運用するアセットマネジメントへ
- その先(支援) 他社の再開発を支援するコンサルティングへ
最初は開発企画や用地担当として、案件の一部を任されることが多いです。オフィスや商業施設だけでなく、住宅や物流施設、ホテルなど扱う分野は幅広く、どの用途を軸に経験を積むかによっても、その後のキャリアの色合いは変わっていきます。
就活対策
この職種で求められる力
- 数字で判断する力収支シミュレーションで事業の成立可否を見極める
- 長期的な視点目の前の判断が先々どう効いてくるかを想像する
- 人の話に耳を傾ける力地権者やテナントの事情をじっくり聞き取る
- 筋道立てて説明する力現地調査とデータの裏づけを根拠に説明する
数字を使って事業の成立可否を判断する力と、人の立場に立って話を聞く力の両方が必要です。収支シミュレーションのような定量的な検討と、地権者やテナントとの合意形成のような定性的なやり取りが、同じ案件の中で絶えず行き来します。どちらか一方が得意なだけでは案件は前に進みません。
加えて、長期的な視点で物事を捉える力も欠かせません。土地の取得から竣工まで数年、竣工後の運営はさらに長く続きます。目の前の判断が先々どう効いてくるかを想像できる人は、この仕事に向いています。
学生のうちに準備できること
街を歩いて観察する習慣は、今からでも身につけられます。駅前の再開発や商業施設を見たときに、「なぜここにこの店があるのか」「この時間帯は誰が歩いているのか」を考えてみると、現地調査の感覚が少しずつ養われます。
数字への抵抗感を減らしておくことも役に立ちます。会計や統計の基礎を学んでおくと、収支や利回りといった概念に早く慣れられます。あわせて、都市計画やまちづくりに関する本や記事に触れておくと、業界特有の考え方が理解しやすくなります。インターンシップやオープンカンパニーで実際の開発業務に近い体験ができる機会があれば、積極的に参加してみるとよいでしょう。
地域や社会の課題に日頃から関心を持ち、自分なりに「この場所をこうしたい」という視点を持つ練習をしておくのもよい準備になります。ニュースで再開発や街づくりの話題を見かけたときに、賛成か反対かだけでなく、なぜそうなったのかという背景まで考えてみる習慣が役に立ちます。
選考で見られやすいポイント
面接では、数字への抵抗感がないかどうかがよく見られます。事業収支や利回りといった概念について、完璧に理解している必要はありませんが、興味を持って学ぼうとする姿勢は伝わります。
もう一つ見られやすいのが、長期的な物事の捉え方です。すぐに結果が出ない仕事に対して、腰を据えて取り組めるかどうかは、学生時代の経験からも垣間見えます。長く続けてきた活動や、成果が出るまで時間のかかった取り組みについて話せると、説得力が増します。複数の利害関係者がいる状況をどう整理して考えるかも、見られやすいポイントの一つです。
体験を ES・面接で語るには
職業体験でデベロッパーの仕事を疑似体験した場合、「現地を観察して何に気づいたか」「データから何を読み取り、それをどう企画に反映させたか」という一連の流れを具体的に振り返ると、説得力のあるエピソードになります。単に「楽しかった」で終わらせず、自分がどんな判断をして、なぜその判断をしたのかまで言葉にすることが大切です。
もし合意形成のような場面を体験していたら、相手の話をどう聞き、どんな順番で提案したかを振り返ってみてください。「最初はうまくいかなかったが、相手の本音に気づいてから状況が変わった」というような、判断の変化を伴うエピソードは、面接官に仕事のリアルな難しさを理解していると伝わりやすくなります。
出典・この記事について
本記事は、PREJOIN 編集部(株式会社Hal)が、各社の有価証券報告書・決算資料・公式サイトなどの公開情報と公的統計をもとに作成しています。数値は作成時点のもので、最新の情報は各出典をご確認ください。
内容の誤りや古くなった情報にお気づきの場合は、info@hal-corporation.com までお知らせください。
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