業界研究

精密機器業界とは

内視鏡やカメラ、時計まで、高い精度を売りにする精密機器業界の構造といま起きている変化を、売上ランキングとあわせて解説します。

公開日 / 最終更新日

運営 株式会社Hal / 編集 PREJOIN 編集部 / 監修 岩本 晃典(株式会社Hal 代表取締役)

精密機器メーカーの技術者が顕微鏡で部品を検査している様子

業界の解説

精密機器業界とは

体の中を映す内視鏡を作る会社もあれば、腕時計を作る会社、化学分析の機械を作る会社もある。精密機器は、医療機器、光学機器、時計、計測機器など、高い精度が求められる製品を作るメーカーの集まりで、同じ精密機器という業種のなかでも扱う製品はかなり幅があります。

精密な部品や工具が並ぶ作業台の様子

カメラやコピー機で知られる会社のなかには、精密機器ではなく電気機器という別の業種に分類される会社もあります。同じ光学技術を土台にしていても、会社の成り立ちや事業の広げ方によって、業種の区分けは分かれています。業界研究をするときは、東証の業種名だけで判断せず、実際にどんな製品を作っているかまで見ることが大切です。

どうやって稼いでいるか

精密機器メーカーの多くは、一つの製品を長く使ってもらうことで稼ぐビジネスです。医療機器なら、機械本体を病院に納めたあと、検査のたびに使う消耗品や、定期的なメンテナンスからも収益が生まれます。

本体から保守まで、長く使われて稼ぐ流れ
  1. 研究開発
  2. 製造
  3. 導入・販売
  4. 保守・消耗品
精密機器は本体を納めて終わりでなく、保守や消耗品からも継続して収益が生まれます。

本体の価格だけでなく、長く使われ続けることを前提にした値付けがされています。研究開発への投資も大きな特徴で、医療機器や光学機器は性能のわずかな差が現場での評価を左右するため、各社は長い時間をかけて技術を磨きます。海外売上の比率が高い会社が多いのも特徴で、医療機器や計測機器は世界中の病院や研究機関で使われるため、国内市場だけでなく世界の需要を取り込むことが成長のカギになります。

主なプレーヤーと業界の構造

精密機器業界の主な系統
  1. 医療機器:内視鏡、医療用レンズ、輸液・透析機器
  2. 光学機器:カメラ用レンズ、半導体製造装置向け部品
  3. 時計・計測機器:腕時計、計測・分析機器
医療・光学・時計や計測というように、精密機器業界にはいくつかの技術の系統があります。

医療機器では、内視鏡や医療用のレンズを手がける会社、輸液や透析に使う機器を手がける会社などがあり、扱う診療科や製品の種類によって競合する相手はかなり違います。光学機器では、写真を撮るためのカメラの需要が縮む一方で、工場の検査装置や半導体製造の分野で光学技術の使いどころが広がっています。時計を手がける会社は、腕時計そのものに加えて、その精密な加工技術を工作機械や医療機器など別の分野に応用していることも多くあります。一つの会社のなかに複数の系統がまたがっていることも珍しくなく、事業ごとに稼ぎ方や成長のスピードが違うという点も、この業界を見るときのポイントになります。

いま起きている変化

精密機器業界では、高齢化にともなって医療機器の需要が世界的に伸びています。検査や治療にかかる体の負担を減らす技術や、医師の技術を機械が補う技術への注目が高まっています。長年カメラや光学機器を手がけてきた会社は、これまで培った光学やセンサーの技術を、医療や産業用途など別の分野に活かす取り組みを進めています。写真を撮るための道具として育ってきた技術が、まったく違う現場で使われ始めているのは、この業界らしい変化です。

製品に組み込まれるセンサーや制御装置は年々高度になっていて、機械の技術者だけでなく、ソフトウェアやデータ分析の技術者の役割も大きくなっています。長い研究期間を経て世に出た技術ほど、他社に真似されにくい強みになりやすい一方、その分だけ開発の判断は慎重にならざるを得ません。

この業界の主な職種

この業界の主な職種
技術を生み出す仕事から、それを現場に届け支える仕事まで、専門性の高い職種が並びます。

とくに医療機器では、医師や技師との専門的なやり取りが欠かせません。技術を生み出す仕事と、それを現場に届け支える仕事、両方があって初めて一つの製品が世に出ます。

売上ランキング

売上高ランキング

指標: 売上高(売上収益) ・ 基準: 東証33業種「精密機器」に属する上場企業の、直近通期(2026年3月期)の連結売上高上位10社。カメラや複合機で知られる会社でも、東証33業種で「電気機器」に区分される会社は対象に含めていません。 ・ 調査日 2026-09-28

順位社名金額決算期注記・出典
1テルモ
1兆1,318億円
2026年3月期出典
2オリンパス
1兆106億円
2026年3月期出典
3HOYA
9,477億円
2026年3月期出典
4ニコン
6,771億円
2026年3月期出典
5ニプロ
6,605億円
2026年3月期出典
6島津製作所
5,607億円
2026年3月期出典
7シチズン時計
3,468億円
2026年3月期出典
8セイコーグループ
3,356億円
2026年3月期出典
9日機装
2,156億円
2025年12月期12月決算 / 出典
10東京精密
1,668億円
2026年3月期出典

決算期は日機装(2025年12月期)を除き2026年3月期です。表示科目は会社により「売上高」「売上収益」と分かれますが、いずれも連結損益計算書の最上段の数値です。カメラ・複合機で知られる会社でも東証33業種で「電気機器」に区分される会社(キヤノン、リコー、コニカミノルタ、日本光電工業など)は対象外としています。

各社の決算資料を基に編集部が作成。決算期が異なる企業を含みます。

就活対策

この業界で求められる力

求められる力
  • 小さな差にこだわる姿勢目に見えない小さな差にこだわり続ける姿勢が土台になります。
  • 粘り強く検証する力仮説を立てて検証し、性能を少しずつ追い込んでいく粘り強さです。
  • 現場に役立つ視点技術の知識だけでなく、それが現場でどう役立つかを考える視点です。
目に見えない小さな差にこだわり続け、粘り強く検証を重ねる姿勢が土台になります。

精密機器の仕事は、目に見えない小さな差にこだわり続ける姿勢が土台になります。研究開発でも生産技術でも、思いついたアイデアをすぐに形にするのではなく、仮説を立てて検証し、性能を少しずつ追い込んでいく粘り強さが求められます。医療機器を手がける会社であれば、技術の知識だけでなく、その技術が患者や医療現場にどう役立つのかを考える視点も欠かせません。

選考で見られやすいポイント

精密機器業界の選考では、なぜ数ある製造業のなかでこの分野なのか、その会社の技術のどこに魅力を感じたのかを聞かれることが多くあります。会社によって強みとする技術領域がはっきり分かれているので、製品や技術を調べたうえで、自分の関心と重なる部分を具体的に話せると伝わりやすくなります。理系の職種では、研究や実験を通じて、うまくいかない原因を突き止めてきた経験が評価されやすいポイントです。文系の職種でも、医療機関や研究機関という専門性の高い相手と向き合う前提を理解しているかが問われます。

業界研究で押さえたい問い

  • その会社の技術は、医療・光学・計測などのどの分野を軸にしているか

  • 海外売上の比率はどれくらいで、どの地域が強いか

  • 主力製品の市場は伸びているか、縮んでいるか

  • 培ってきた技術を、新しい分野にどう応用しようとしているか

体験を ES・面接で語るには

技術を市場のニーズに結びつけるワークを体験したなら、なぜその技術とその用途を結びつけたのかという考え方の筋道を話せると、単なる思いつきではないことが伝わります。

うまく結びつかなかった場面があれば、そこで何を調べ直したか、どう考えを修正したかまで話すと、粘り強く仮説を検証する姿勢が伝わります。精密機器の仕事は成果が出るまでに時間がかかることが多いので、途中の試行錯誤を具体的に語れることが強みになります。

小さな誤差やわずかな違和感に気づいた経験があれば、それも伝える価値があります。見過ごしてしまいそうな細部にこだわった理由まで話せると、精密機器の仕事に必要な感覚と重なって伝わります。

出典・この記事について

  1. テルモ 2026年3月期決算短信
  2. オリンパス 2026年3月期決算短信
  3. HOYA 2026年3月期決算短信
  4. ニコン 2026年3月期決算短信
  5. ニプロ 2026年3月期決算短信
  6. 島津製作所 2026年3月期決算短信
  7. シチズン時計 2026年3月期決算短信
  8. セイコーグループ 2026年3月期決算短信
  9. 日機装 有価証券報告書(2025年12月期)
  10. 東京精密 2026年3月期決算短信

本記事は、PREJOIN 編集部(株式会社Hal)が、各社の有価証券報告書・決算資料・公式サイトなどの公開情報と公的統計をもとに作成しています。数値は作成時点のもので、最新の情報は各出典をご確認ください。

内容の誤りや古くなった情報にお気づきの場合は、info@hal-corporation.com までお知らせください。

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シーズを事業に — 光学技術の次のカタチ

精密機器メーカーのR&Dエンジニアになって、自社の光学技術の「次の出口」を探す。技術シーズと市場ニーズのマッチング、先行特許の読み解き、パラメータを動かして性能を追い込む設計実験まで — 研究を事業に変える仕事を追体験します。