職種研究

データサイエンティストの仕事とは

データサイエンティストは、データから規則性を見つけ、仕組みやルールに落とし込む仕事です。レコメンドや不正検知を例に、仮説検証とトレードオフの向き合い方を図解で解説します。

公開日 / 最終更新日

運営 株式会社Hal / 編集 PREJOIN 編集部 / 監修 岩本 晃典(株式会社Hal 代表取締役)

データサイエンティストが大きなモニターに映る折れ線グラフを見ながら議論している様子

仕事の解説

データサイエンティストとは

データサイエンティストは、集まったデータの中から意味のあるパターンを見つけ、それをビジネスの判断や仕組みに落とし込む仕事です。動画アプリの「あなたへのおすすめ」も、カードの不正利用を止める仕組みも、その裏側にはデータから規則性を読み取り、ルールやアルゴリズムに変える設計者がいます。

スマートフォンの画面に並ぶおすすめカードを眺める人の様子

たとえば動画のおすすめを考えるとき、ある利用者の視聴履歴から傾向が見えたら、その傾向に近い動画を推薦する。人間が無意識にやっている「この人はこういうものが好きそうだ」という推理を、大勢の利用者に対して自動で行う仕組みをつくるのが、この仕事の役割です。

一方で、データから答えを出す仕事には、必ずトレードオフが伴います。不正な取引をすべて見逃さないようにルールを厳しくすれば、正常な取引まで誤って止めてしまいます。どちらか一方を追い求めるのではなく、両方のコストを数字で比較し、バランスの取れた落としどころを見つけることが求められます。

仕事の流れ(1日・1年)

1日の中では、データを集めて整理する作業、傾向を分析するための集計や可視化、モデルやルールの設計、その結果を振り返って改善する作業を行き来します。

仮説と検証の繰り返し
  1. データを整理する:手元で何が分かるかを洗い出す
  2. 仮説を立てる:こうではないかという仮の答えを置く
  3. ルール・モデルをつくる:仮説を形にして試す
  4. 結果を確かめる:想定通りかを実データで検証する

最後の項目から最初の項目に戻り、繰り返します。

手元のデータを整理し、仮説を立てて確かめ、また立て直す循環を示した図です。

上の図のように、新しい課題に取り組むときは、手元のデータで何が分かるかを整理し、仮説を立ててモデルの案をつくり、実際のデータに当てはめて確かめる。想定通りに機能しなければ、また仮説を立て直す。この繰り返しが、日々の仕事の中心になります。

グリッド上に散らばる点とそれを丸で囲む拡大鏡。人物のいない構図

不正検知のような場面では、条件を1つ変えるたびに、見つけられた不正の件数と、誤って止めてしまう正常な取引の件数が変わります。それぞれに発生するコストを比較しながら、最も損失の小さい組み合わせを探る作業を重ねます。まだ十分なデータがない新規の利用者にどう対応するかを考えるのも、この仕事でよく出会う課題です。

やりがいと大変さ

やりがいと大変さの内訳
やりがい大変さ
発見の手応え埋もれていた規則性を見つけ仕組みとして動き出す瞬間完璧な正解が存在せず常にトレードオフと向き合う
検証の粘り強さ設計したルールで変化を数字で確認できる想定と違う結果の原因をデータから探り当てる根気
利用者への想像力利用者に合った提案ができるようになる手応えルールを厳しくすると別の負担が増える葛藤
データサイエンティストが感じやすい手応えと負担を、場面ごとに並べた図です。

データの中に埋もれていた規則性を見つけ、それが実際の仕組みとして動き出す瞬間は、この仕事ならではの手応えです。自分が設計したルールによって、これまで見逃されていた不正が捕まったり、利用者に合った提案ができるようになったりする変化を、数字で確認できます。

一方で、完璧な正解が存在しない仕事でもあります。ルールを厳しくすれば見逃しは減っても、別の負担が増える。どちらを立てても何かを犠牲にするというトレードオフと、常に向き合い続けることになります。

向いている人

限られたデータから相手の傾向や好みを読み取るのが得意な人、「この人はこういう傾向があるのではないか」と仮説を立てて検証するのが好きな人に向いています。加えて、ルールや仕組みを条件の組み合わせとして構造的に捉える力、複数の指標を数字で比較して落としどころを探る力も欠かせません。

もう1つ大切なのが、自分がつくった仕組みが実際の利用者にどう影響するかを想像する視点です。数字の上での最適解が、必ずしも利用者にとって心地よい結果とは限らないからです。

キャリアパス

データサイエンティストのキャリアの段階
  1. 入社1〜3年目 既存データの分析やルールの改善を担当
  2. 中堅 課題設定とデータ選定を任される:どんな課題にどんなデータで取り組むかを決める
  3. その先(専門) 特定の技術を突き詰める専門職へ
  4. その先(企画) 事業側の意思決定に関わる企画職へ:分析結果をもとに事業の判断に関わる
既存の分析を担当する立場から、課題そのものを設計する立場へ広がる流れです。

若手のうちは、与えられたデータの分析や、既存のルール・モデルの改善を担当するところから始まります。データから規則性を見つけ、仕組みに落とし込む力は、扱う対象が変わってもそのまま生きる土台になります。

就活対策

この職種で求められる力

データサイエンティストで求められる力
  • 仮説を立てる力限られた情報から傾向を読み取り仮の答えを置く
  • 構造的に捉える力ルールや仕組みを条件の組み合わせとして考える
  • 数字で比較する力複数の指標をコストや効果という物差しで比べる
  • 利用者を想像する視点つくった仕組みが利用者にどう影響するかを考える
仮説・構造・想像力という3つの軸から、日々の判断を支える力を示した図です。

限られた情報から傾向を読み取り、仮説を立てる力が土台になります。すべてのデータが揃っていない状態でも、「おそらくこうではないか」という仮の答えを置き、検証しながら精度を高めていく姿勢が求められます。

加えて、ルールや仕組みを条件の組み合わせとして構造的に考える論理的思考力、複数の指標をコストや効果という共通の物差しで比較する数字への感度、そして自分がつくった仕組みが利用者にどう影響するかを想像する視点も欠かせません。

学生のうちに準備できること

日頃から、身の回りのアプリやサービスの「おすすめ」や「通知」がどんな仕組みで決まっていそうかを考えてみる習慣は、良い準備になります。統計や確率の基礎的な考え方に触れておくと、データを見たときに「たまたまなのか、意味のある傾向なのか」を判断する感覚が養われます。

プログラミングやデータ分析ツールの経験があれば強みになりますが、必須ではありません。それよりも、数字や表を見たときにすぐに諦めず、傾向を読み取ろうとする粘り強さのほうが、選考の場でも評価されやすい資質です。

ゼミの調査やアルバイト先の売上データなど、身近な数字に触れる機会があれば、そこから何か1つ仮説を立てて、実際にデータを見て確かめてみる経験をしておくと、話せる材料が増えます。

選考で見られやすいポイント

面接では、データや情報から仮説を立てた経験、そしてその仮説を検証しようとした経験が見られやすいポイントです。仮説が外れたときにどう考え直したかまで話せると、検証のプロセスを踏める人材だと伝わります。

もう1つは、トレードオフに対する向き合い方です。何かを追求すれば別の何かを犠牲にする場面で、両方を数字で比較して判断した経験があれば、それはこの仕事に直結する良い材料になります。

体験を ES・面接で語るには

職業体験で経験したデータの読み解きや、ルール設計の判断は、そのまま良い材料になります。ポイントは、選んだ結果だけでなく、その手前でどんな仮説を立て、どんなデータを根拠にしたかを話すことです。「この傾向が見えたから、こう判断した」という因果の流れを説明できると、思考のプロセスが伝わりやすくなります。

最初に立てた仮説がデータと合わなかった経験も、隠さずに語る価値があります。どこで見立てが外れたのか、次にどう仮説を立て直したのかまで話せると、この仕事に欠かせない検証の姿勢が具体的に伝わります。

出典・この記事について

本記事は、PREJOIN 編集部(株式会社Hal)が、各社の有価証券報告書・決算資料・公式サイトなどの公開情報と公的統計をもとに作成しています。数値は作成時点のもので、最新の情報は各出典をご確認ください。

内容の誤りや古くなった情報にお気づきの場合は、info@hal-corporation.com までお知らせください。

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