業界研究

広告・マーケティング業界とは

広告会社やネット広告会社はどう稼いでいるのか。広告・マーケティング業界のビジネスモデルと主な職種、就活で見られるポイントを解説します。

公開日 / 最終更新日

運営 株式会社Hal / 編集 PREJOIN 編集部 / 監修 岩本 晃典(株式会社Hal 代表取締役)

広告会社のチームが企画会議でアイデアを出し合っている様子

業界の解説

広告・マーケティング業界とは

テレビCM、SNSの広告、街中の看板、検索結果に出てくる広告。企業が商品やサービスを知ってもらうための表現とお金の流れを設計するのが、広告・マーケティング業界です。広告会社は、企業(広告主)からの依頼を受けて、広告の企画・制作から媒体の買い付け、効果測定までを請け負います。

街中の広告看板が並ぶ通りの様子

この業界の特徴は、扱う仕事の幅がとても広いことです。テレビや新聞などのマス広告を扱う会社もあれば、SNSや検索連動型広告などのネット広告に特化した会社もあります。一つの広告主に対しても、複数の広告会社がそれぞれ得意分野を持ち寄って関わることが少なくありません。一連の仕事の流れを図にすると、次のようになります。

広告の仕事の基本的な流れ
  1. 課題のヒアリング
  2. 企画・提案
  3. 制作・媒体の買い付け
  4. 出稿・運用
  5. 効果測定・改善
課題を聞き取ってから効果を測って改善するところまでが、一つのサイクルとして続きます。

どうやって稼いでいるか

広告会社の収益の仕組みは、大きく二つに分かれます。一つは、テレビ局やウェブメディアなどの広告枠を広告主に販売し、その差額や手数料を収益にする仕組みです。もう一つは、企画やクリエイティブの制作、コンサルティングそのものに対価をもらう仕組みです。同じ会社の中でも、案件によってこの二つが組み合わさっていることがあります。

マス広告中心とネット広告中心の違い
マス広告中心ネット広告中心
収益の仕組み広告枠の販売や企画への対価運用の成果に応じた収益
仕事のリズム放映・掲載に向けた制作が中心出稿後も毎日調整を続ける
求められる力言葉やビジュアルへの感度数字を読み解く力
扱う媒体によって、収益の仕組みも仕事のリズムも大きく変わります。

決算の数字の出し方も会社によって違います。広告費の全額を売上として計上する会社もあれば、自社の取り分だけを収益として計上する会社もあります。同じ「広告会社」でも決算書の数字を単純には比べにくいのはこのためで、この違いは会計処理の技術的な話にとどまらず、その会社が広告主とどんな関係を結んでいるかを映す手がかりにもなります。

主なプレーヤーと業界の構造

業界の中心には、マスメディアを含む幅広い広告を扱う総合広告会社があります。加えて、ネット広告に特化した会社、特定の業界や用途に強みを持つ専門会社が数多く存在します。規模の大きい会社ほど幅広い業務を自社で抱え、規模の小さい会社ほど特定の領域に絞って専門性で勝負する傾向があります。

広告主が広告会社を介さず自社で運用する「インハウス化」の動きもあり、広告会社の役割は、代わりに運用することから戦略や体制作りを支援することへと広がりつつあります。会社の規模や成り立ちによって社員に求められる専門性も変わり、大きな組織では営業、クリエイティブ、データ分析といった役割がはっきり分かれていることが多く、小さな会社ほど一人が幅広い業務を兼ねる傾向があります。

いま起きている変化

一つ目は、データとテクノロジーの重要性の高まりです。広告の効果を数字で検証し、改善を繰り返すことが当たり前になり、感覚や経験だけに頼った提案は以前ほど通用しなくなってきました。次に、採用や人材領域への広がりです。人手不足を背景に、企業の採用活動を広告・ブランディングの手法で支援する仕事の需要が高まっています。商品を売るためのノウハウを、人を集めるために応用する動きだといえます。

最後に、生成AIの活用です。広告文やクリエイティブ案の作成、データ分析の一部にAIを取り入れる動きが広がっており、人がどこに力を注ぐべきかが問い直されています。作業のスピードは上がる一方で、最終的な狙いや判断を決めるのは依然として人の仕事です。

この業界の主な職種

この業界の主な職種
広告主の課題を聞き取る仕事から、言葉やデータで応える仕事まで役割が分かれています。

採用や社内広報に強みを持つ会社では、企業の魅力を言語化するブランディングプランナーの仕事もあります。どの職種も、広告主の課題を自分ごととして捉える姿勢が土台になっています。

売上ランキング

主な広告・マーケティング会社

指標: 売上高/収益 ・ 基準: 国内上場の広告会社・ネット広告会社。指標(売上高・収益)の定義が会社ごとに大きく異なり単純に順位付けできないため、順位・金額を付けない主要企業リストとした。 ・ 調査日 2026-09-28

  • 電通グループ

    収益1,435,245百万円(2025年12月期、IFRS)。経営指標としては売上総利益も重視。 / 出典

  • 博報堂DYホールディングス

    収益861,003百万円(新基準)。旧基準の売上高1,580,460百万円と定義が大きく異なる(2026年3月期)。 / 出典

  • サイバーエージェント

    売上高874,030百万円(全社、2025年9月期)。うちインターネット広告事業は438,811百万円。 / 出典

  • セプテーニ・ホールディングス

    収益30,309百万円(IFRS、継続事業ベース、2025年12月期)。 / 出典

  • デジタルホールディングス

    収益13,102百万円(新基準)。旧基準の売上高61,646百万円(2025年12月期)。 / 出典

  • ベクトル

    売上高63,794百万円(2026年2月期)。PR・広告・DM等を手がける持株会社。 / 出典

  • フリークアウト・ホールディングス

    売上高50,323百万円(2025年9月期、アドテク事業)。 / 出典

  • バリューコマース

    売上高24,169百万円(2025年12月期、アフィリエイトASP事業)。 / 出典

  • アドウェイズ

    売上高12,219百万円(2025年12月期)。取引ごとに純額・総額の会計処理が混在。 / 出典

  • マイクロアド

    売上高15,670百万円(2025年9月期)。 / 出典

  • ファンコミュニケーションズ

    売上高7,096百万円(2025年12月期)。 / 出典

広告会社は『収益』と『売上高』の定義が会社でばらばら。博報堂DYとデジタルHDは新基準の収益が旧基準の売上高の2〜5割程度しかなく、同じ表で順位付けすると会計処理の違いだけで順位が変わってしまう。そのため順位・金額なしの主要企業リストとし、各社の実額はnoteに記載した。ADKホールディングスとCARTA HOLDINGSは上場廃止のため対象外。

各社の決算資料を基に編集部が作成。決算期が異なる企業を含みます。

就活対策

この業界で求められる力

求められる力
  • 数字と言葉、両方への感度成果の変化に気づく感度と、伝えたいことを言葉にする力の両方です。
  • 仮説検証を繰り返す粘り強さ小さな仮説検証を繰り返しながら成果を積み上げる姿勢です。
  • 相手の業界を理解する姿勢依頼を受けた会社の商品や業界を、自分から調べ理解しようとする姿勢です。
数字への感度と言葉への感度、両方があって初めてこの仕事の面白さが見えてきます。

広告の成果は必ず数字に表れるため、その変化に気づき、原因を考える習慣が欠かせません。同時に、伝えたいことを的確な言葉やビジュアルに変える力も必要です。どちらか一方が得意なだけでは、この仕事の面白さは半分しか味わえません。

地道な検証を積み重ねる姿勢も重要です。一度の施策で正解が出ることは少なく、小さな仮説検証を繰り返しながら成果を積み上げていく仕事だからです。広告会社の社員は、自社の商品を売るのではなく、依頼を受けた会社の商品やサービスを売るための提案をします。相手の業界や商品への理解が浅いままでは的外れな提案になってしまうため、担当する業界が変わるたびに一から勉強し直す柔軟さも求められます。

選考で見られやすいポイント

身の回りの広告をどれだけ観察しているかが問われます。なぜこの広告に目が留まったのか、なぜこのタイミングで流れているのかを自分の言葉で説明できると評価されます。普段何気なく目にしている広告を、作り手の視点で見返す習慣があるかどうかが分かれ目です。

論理的に考える力も見られます。数字の変化に対して、思いつきではなく筋道立てた仮説を立てられるか。逆に、数字だけに頼らず、受け手の気持ちを想像できるか。この両方のバランスが見られます。加えて、広告主の業界について自分から調べ、理解しようとする姿勢も評価されやすいポイントです。初対面の相手の課題を短時間で理解しようとする姿勢も、この仕事に通じる資質として見られます。

業界研究で押さえたい問い

  • その会社は総合広告か、ネット広告特化か、それとも特定分野の専門会社か

  • 収益の仕組みは広告枠の販売中心か、企画・コンサルティング中心か

  • データ分析やテクノロジーにどれだけ投資しているか

  • インハウス化が進む中、広告会社としての役割をどう位置づけているか

  • 採用領域など、広告以外への事業展開はあるか

これらの問いを2〜3社にあてはめて比較すると、同じ「広告会社」でも稼ぎ方や強みがまったく違うことが見えてきます。

体験を ES・面接で語るには

職業体験で広告の効果を数字で検証したなら、どの数字が悪化していて、何を優先して手を打ったかを具体的に書くと伝わりやすくなります。単なる思いつきではなく、データに基づいて判断した過程を語ることが大切です。数字の変化に気づいた瞬間や、仮説が外れて考え直した経験があれば、そこも正直に書くと厚みが出ます。

言葉やコピーを考えた経験があれば、なぜその言葉にたどり着いたかのプロセスを語ると良い材料になります。何案も考えて絞り込んだ経験、誰かの本音を聞き出して言葉にした経験は、この業界で評価される思考プロセスと重なります。一つの言葉に決めるまでにどれだけ案を捨てたかも、伝える価値のあるエピソードです。

誰かのために発信内容を考えた経験も、この業界の仕事と重なります。自分自身の言葉ではなく、誰かの魅力や強みを、相手に伝わる形に翻訳した経験があれば、それがそのまま広告・マーケティングの仕事の疑似体験になります。伝える相手によって言葉を選び直した経験があれば、それも忘れずに盛り込みたいところです。

出典・この記事について

  1. 電通グループ 決算短信
  2. 博報堂DYホールディングス 決算短信
  3. サイバーエージェント 決算短信
  4. セプテーニ・ホールディングス 決算短信
  5. デジタルホールディングス 決算短信
  6. ベクトル 決算短信
  7. フリークアウト・ホールディングス 決算短信
  8. バリューコマース 決算短信
  9. アドウェイズ 決算短信
  10. マイクロアド 決算短信
  11. ファンコミュニケーションズ 決算短信

本記事は、PREJOIN 編集部(株式会社Hal)が、各社の有価証券報告書・決算資料・公式サイトなどの公開情報と公的統計をもとに作成しています。数値は作成時点のもので、最新の情報は各出典をご確認ください。

内容の誤りや古くなった情報にお気づきの場合は、info@hal-corporation.com までお知らせください。

この業界のワークを体験する

CPA高騰を止めろ — D2Cコスメ広告運用改善

広告運用コンサルタントになって、CPAが2倍に高騰したD2Cコスメブランドを立て直す。KPIの読み解き、媒体データの診断、広告コピー作成、月900万円の予算再配分シミュレーションまで、運用型広告の意思決定を追体験します。アカウントの生データを読み解くケース資料室つき。

"らしさ"を言葉に — 採用ブランディングプロジェクト

採用ブランディングのプランナーになって、無名だけど実力ある部品メーカーの採用を立て直す。社員の「生きた言葉」の発掘、コンセプト開発、コピーのプロ添削、予算配分シミュレーションまで、企業の"らしさ"を言葉にする仕事を追体験します。社員インタビューを読み解くケース資料室つき。