業界研究

食品・飲料業界とは

毎日の食事や飲み物を支える食品・飲料業界のビジネスモデルと業界構造、主な職種を解説します。売上ランキングと就活のポイントも紹介します。

公開日 / 最終更新日

運営 株式会社Hal / 編集 PREJOIN 編集部 / 監修 岩本 晃典(株式会社Hal 代表取締役)

食品メーカーの開発担当者たちが試作品を試食して意見を出し合う様子

業界の解説

食品・飲料業界とは

コンビニの棚に並ぶスナック、スーパーの冷蔵ケースの乳製品、自動販売機の缶コーヒー。朝から晩まで、私たちはこの業界が作ったものを口にしています。食品・飲料業界とは、原材料を加工して製品にし、卸や小売を通じて消費者に届ける会社の集まりです。加工食品、飲料、乳製品、調味料、菓子、酒類など扱う品目の幅が広く、同じ「食品メーカー」でも中身はかなり違います。

一年を通して同じ商品が並ぶように見えて、実際には季節ごとに商品構成を細かく入れ替えています。気温や行事に合わせて売れ筋が入れ替わるからです。

季節で入れ替わる商品サイクル
  1. 春の新商品
  2. 夏の冷たい飲料・麺類
  3. 秋の味覚・行事商品
  4. 冬のスープ・鍋つゆ

最後の項目から最初の項目に戻り、繰り返します。

気温や行事に合わせて売れ筋が入れ替わるため、一年を通して商品構成を細かく組み替えています。

この季節の波を読み、いつ、どの商品を、どれだけ作るかを決める仕事が、業界のあちこちに存在します。景気の波を受けにくい業界だとよく言われますが、それは「安泰」という意味ではありません。原材料の価格変動、人口減少による国内市場の縮小、健康志向の高まりなど、稼ぎ方を揺さぶる要因は常にあります。

どうやって稼いでいるか

食品・飲料メーカーの基本は、原材料を仕入れて加工し、ブランドを付けて売ることです。同じ小麦粉でも、無地の袋で売るのと有名ブランドを付けて売るのとでは、値段も利益率もまったく違います。この「ブランドの力で値段を作る」部分が、メーカーの生命線です。

売り先で変わる勝負どころ
小売向け業務用・卸向け
主な取引先スーパー・コンビニ外食チェーン・他メーカー
勝負を分けるもの店頭の見え方とパッケージ品質の安定と納期
ブランドの役割消費者に選ばれる決め手取引を続けるための信頼
同じ食品メーカーでも、消費者に売るか企業に卸すかで、勝負を分けるものが違います。

同じ会社が小売向けと業務用・卸向けの両方を手がけていることも珍しくありません。利益の出し方も一様ではなく、定番商品を大量生産して薄利多売で稼ぐ会社もあれば、健康志向や高付加価値商品に絞って単価を上げる会社もあります。近年は値上げが相次ぎましたが、これは原材料高への対応であると同時に、安さだけで勝負する時代の終わりを映す動きでもあります。

主なプレーヤーと業界の構造

業界の構造を大きく分けると、多品目を総合的に扱う大手メーカー、特定分野に強みを持つ専業メーカー、飲料に特化したメーカーに分かれます。上場している大手だけでなく、非上場の有力企業も多いのがこの業界の特徴で、とくに飲料の分野では非上場のまま高いブランド力を持つ会社が存在します。

原材料の調達から製造、物流、小売までのサプライチェーンが長いことも特徴です。天候不順や国際情勢による原材料価格の変動は、どのメーカーにとっても避けられないリスクで、値上げは一度発表すれば終わりではなく、取引先への説明、店頭価格への反映時期の調整など、いくつもの段階を踏んで実行されます。海外展開の度合いは会社によって差が大きく、味の好みや規制が国ごとに違うため、国内で売れている商品をそのまま持ち込めるとは限りません。

いま起きている変化

飲料工場のボトリングラインに瓶が並ぶ様子

まず目立つのが、健康や機能性への関心の高まりです。糖質やカロリーを抑えた商品、特定の栄養素を強化した商品など、体にいいことを前面に出した商品開発が広がっています。共働き世帯の増加を背景に、調理の手間を減らす冷凍食品や調理キットの需要が伸びているのも見逃せない動きです。

原材料高と人手不足を背景にした値上げと生産効率化も進んでいます。工場の自動化投資を進める会社が増え、生産ラインの一部をロボットに任せ、人は品質チェックや改善提案に回るという役割分担も広がってきました。プラスチック容器の削減や食品ロスの削減も、消費者の目に触れやすいテーマとして各社が取り組みを強めています。

この業界の主な職種

この業界の主な職種
商品を生み出す仕事から、店頭に届ける仕事まで、複数の職種が関わって一つの商品になります。

海外事業を担う職種では、現地の規制や商習慣を理解した上で、商品や売り方を作り直す力も求められます。

売上ランキング

売上高ランキング

指標: 売上高(売上収益) ・ 基準: 東証33業種『食料品』に属する上場企業の、直近通期の連結売上高(IFRS適用会社は売上収益)。非上場のサントリーホールディングスは対象外。 ・ 調査日 2026-09-28

順位社名金額決算期注記・出典
1JT(日本たばこ産業)
3兆4,676億円
2025年12月期出典
2アサヒグループホールディングス
2兆8,946億円
2025年12月期出典
3キリンホールディングス
2兆4,333億円
2025年12月期出典
4サントリー食品インターナショナル
1兆7,154億円
2025年12月期出典
5味の素
1兆5,837億円
2026年3月期出典
6日本ハム
1兆4,573億円
2026年3月期出典
7山崎製パン
1兆3,114億円
2025年12月期出典
8明治ホールディングス
1兆1,736億円
2026年3月期出典
9伊藤ハム米久ホールディングス
1兆713億円
2026年3月期出典
10コカ・コーラ ボトラーズジャパンホールディングス
8,938億円
2025年12月期出典

たばこ会社のJTも東証33業種『食料品』に分類されるため、たばこ事業と加工食品事業を合わせた会社全体の数値で1位に入っている。IFRS適用会社は『売上収益』、日本基準の会社は『売上高』を使っており、決算期も12月期(JT・アサヒ・キリン・サントリー食品・山崎製パン・コカ・コーラボトラーズジャパンHD)と3月期(味の素・日本ハム・明治・伊藤ハム米久)が混在する。非上場のサントリーホールディングスは対象外。日清製粉グループ本社(865,004百万円)や日清食品ホールディングスなど、僅差でこの10社に続く会社もある。

各社の決算資料を基に編集部が作成。決算期が異なる企業を含みます。

就活対策

この業界で求められる力

求められる力
  • 数字と感覚を行き来する力売場のデータを読む力と、店頭でお客様がどう感じるか想像する力です。
  • 検証を重ねる忍耐力小さな改良と失敗を積み重ね、地味な繰り返しを面白がれるかどうかです。
  • 関係者と調整する力研究開発・生産・営業・マーケティングの間で折り合いをつける力です。
数字と感覚の両方を扱いながら、地道な検証を積み重ねられるかが問われます。

数字と感覚の両方を扱える人が向いています。売場のデータやアンケート結果を読み解く力と、店頭に並んだときにお客様がどう感じるかを想像する力、この両方が要ります。原材料や生産のことを理解しようとする姿勢も欠かせません。頭の中で良いと思ったアイデアも、原価やライン設備の制約の前では作り直しになることが珍しくありません。

地道な検証を続ける忍耐力も問われます。ヒット商品は一朝一夕に生まれるものではなく、小さな改良と失敗を積み重ねた先にあります。社内外の関係者と協力する力も欠かせません。一つの商品は、研究開発、生産、営業、マーケティングといった複数の部署が関わって初めて世に出るため、立場によって優先したいことが違い、そこで折り合いをつけながら前に進める調整力が役立ちます。

選考で見られやすいポイント

「なぜこの業界か」だけでなく、「なぜこの会社の、どの商品・分野か」まで具体的に説明できるかが見られます。食品・飲料業界は会社ごとに強みの分野がはっきり分かれているため、その会社の商品を実際に手に取り、味わい、売場で見た経験を語れると説得力が増します。競合他社の商品と食べ比べた経験があれば、なおよい材料になります。

論理的な思考力も重視されます。「この商品が売れている理由」「この売場で工夫できること」を、自分なりの仮説を立てて説明できるかどうかは、面接でよく試されます。加えて、原材料高や人手不足といった業界共通の課題に対して、自分なりの考えを持っているかも見られやすいポイントです。

業界研究で押さえたい問い

  • その会社は、どの商品カテゴリーで強みを持っているか

  • 国内市場と海外市場、どちらに成長の軸足を置いているか

  • 値上げや原材料高にどう対応してきたか

  • 健康志向や環境配慮に、どんな商品・取り組みで応えているか

  • 総合メーカーか専業メーカーか、それによって働き方はどう違うか

これらの問いは、複数の会社を比較するときの軸として使えます。同じ問いを2〜3社にあてはめてみると、それぞれの会社らしさが浮かび上がってきます。

体験を ES・面接で語るには

職業体験でブランドの意思決定を経験したなら、何を優先し、何を諦めたかを具体的に書くと伝わりやすくなります。単に「楽しかった」で終わらせず、迷った場面と、そこでどんな基準で判断したかをセットで語ることが大切です。判断の理由を言葉にする練習は、面接での受け答えにもそのまま活きます。

例えば、競合の動きに反応するかどうかを判断する場面があったなら、自社の強みを軸に据えて判断したという選び方そのものが、この業界で求められる思考と重なります。データと感覚のどちらか一方に頼らず、両方を使って判断した経験があれば、それも良い材料になります。振り返りの中で「もし今やり直すなら」を考えておくと、面接で深掘りされたときにも答えやすくなります。

複数の立場の意見を聞いて調整した経験があれば、それも積極的に伝えるとよいでしょう。商品開発は一人で完結する仕事ではないため、周囲を巻き込みながら物事を進めた経験は、そのまま働く姿のイメージにつながります。

出典・この記事について

  1. JT(日本たばこ産業) 決算短信
  2. アサヒグループホールディングス 決算短信
  3. キリンホールディングス 決算短信
  4. サントリー食品インターナショナル 決算短信
  5. 味の素 決算短信
  6. 日本ハム 決算短信
  7. 山崎製パン 決算短信
  8. 明治ホールディングス 決算短信
  9. 伊藤ハム米久ホールディングス 決算短信
  10. コカ・コーラ ボトラーズジャパンホールディングス 有価証券報告書

本記事は、PREJOIN 編集部(株式会社Hal)が、各社の有価証券報告書・決算資料・公式サイトなどの公開情報と公的統計をもとに作成しています。数値は作成時点のもので、最新の情報は各出典をご確認ください。

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